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コオロギのオスの前翅の動き 【動物の活動と季節】

 フタホシコオロギのオスが前翅をこすり合わせて音を出す様子を通常の撮影スピード(30 fps)と高速度撮影(600 fps)で比較しました。コオロギは,両前翅を持ち上げ,右翅裏のやすり器と左翅 横のこすり器を両翅が閉じる時にこすりあわせ,その振動で 薄膜部(ハープ部,ミラー部)を振動させ,さらに翅と腹背にできる空気柱で共鳴させて発音しています。高速度撮影で観察すると,前翅をギリギリと力をかけてこすり合わせている様子が良く分かります。こうして発せられる鳴音はやすり器とこすり器をこすり合わせる位置で周波数が調整され,近くに棲息する種の識別や同種配偶者への誘因、時には個体間での闘争時の威嚇の情報を伝達する役割をもちます。この映像では奥の方にいるメスに対してオスが一生懸命アプローチしています。秋に私たちを楽しませてくれる虫の音は、コオロギやキリギリスなどが、気温が下がる前に自分の子孫を残そうとするための必死の歌声なのです。

[撮影 中村敦直]